「聖」という漢字は「sei」と読みます。
この漢字は、何を意味するでしょうか?
【初級編】 漢字の意味を考えてみよう
この漢字は、3つの異なる意味の漢字を組み合わせてできていると言われています。
・「耳」は人の耳を意味する
・「口」は神への祈りを捧げる時に使う器、祈りの言葉を意味する
・「王」はつま先立ちしている人の形を意味する
これらの漢字を合わせて、人が神様にお祈りし、お告げを聞いている様子を表しています。漢字の成り立ちから意味を予想できましたか?
正解は…「holy」「intelligent」
「聖」は「sei」と読み、例文のような場面や文章で使われる、知識と道徳に優れた人や、賢さ、神に仕える聖職者を意味する漢字です。
例文
「父は東京オリンピックの聖火リレーに参加したことがある。」
(Chichi wa Tōkyō orinpikku no seika rirē ni sanka shita koto ga aru.)
My father has participated in the Tokyo Olympic torch relay.
例文
「遺跡の調査では、神聖な儀式に使われたとされる鏡が発掘された。」
(Iseki no chōsa de wa, shinseina gishiki ni tsukawareta to sareru kagami ga hakkutsu sareta.)
Archaeological excavations unearthed mirrors allegedly used for sacred ceremonies.
【中級編】 日本のクリスマスを知ろう!
「聖」はキリストなどの神々を意味する場合にも使われる漢字です。日本では、キリストがかかわる有名なイベント、クリスマスを表す漢字の中にも「聖」が使われています。クリスマスは、日本語で「聖誕祭(seitansai)」と記され、キリスト(=聖人)の誕生をお祝いする祭りを表します。また、12月25日の前日、クリスマス・イヴのことを「聖夜(seiya)」と呼ぶこともあります。このように、「聖」は、クリスマスに関することを表すときにも使われる漢字です。
日本のクリスマスの過ごし方は、欧米とは少し異なります。欧米では、クリスマスは家族の時間として捉えられることが多いのに対し、日本では、恋人や友人との時間として捉えられることが多くあります。恋人や友人と、クリスマス用にデコレーションされたケーキやフライドチキンを食べて、にぎやかに過ごします。
クリスマスに関係する「聖」を使った熟語をご紹介します。
・聖歌隊(seikatai)
協会やミサはもちろん、クリスマス行事や結婚式などのお祝いの場で、賛美歌や聖歌を歌う合唱団を意味しています。
例文
「弟は、大学の聖歌隊でいつも楽しそうに歌っている。」
(Otōto wa, daigaku no seikatai de itsumo tanoshi-sō ni utatte iru.)
My brother always sings happily in the college choir.
・聖書(seisho)
キリスト教やユダヤ教の経典を指します。英語の発音をそのまま流用して「バイブル」ということも多くあります。
例文
「聖書は、世界で最も売れた本として有名だ。」
(Seisho wa, sekai de mottomo ureta hon to shite yūmeida.)
The Bible is famous as the best-selling book in the world.
【上級編】「聖」を使った慣用句や熟語を知ろう!
「聖」は、一つの道を極めた人や、非常に優れた人を表すときにも使われることがあります。日本人がよく使う「聖」を使った表現をご紹介します。
・聖人君子(seijin-kunshi)
並外れた人格を持ち、知識や教養を身に着けた非常に立派な人を意味します。「聖人(seijin)」が、最高の人格を備えた人を意味し、「君子(kunshi)」は、学識や知識に優れた人を意味しています。
「聖人君子(seijin-kunshi)」の由来は、中国にあるといわれています。昔から、中国では、誰からも尊敬されるような理想的な人物を「聖人(seijin)」や「君子(kunshi)」と表現する文化がありました。この2つの言葉が組み合わせられて、日本でも使われるようになったといわれています。一般的に、「聖人君子(seijin-kunshi)」といえば、「仏陀」や「孔子」が有名です。
例文
「私は、仲間から称賛を浴び、「聖人君子」にでもなったかのように錯覚してしまった。」
(Watashi wa, nakama kara shōsan wo abi, “seijin-kunshi” ni demo natta ka no yō ni sakkaku shite shimatta.)
I was praised by my colleagues and had the illusion that I was a “perfect person.”
聖の前に特定の分野を表す漢字を組み合わせることで、その分野に優れた人を表現することができます。たとえば、次の4つがあります。
・楽聖(gakusei)
非常に優れた作曲家や演奏家、音楽会の偉人を意味しています。
例文
「数々の名曲を残したベートーベンは「楽聖」と言われている。」
(Kazukazu no meikyoku wo nokoshita bētōben wa “gakusei” to iwarete iru.)
Beethoven, who left behind many masterpieces, is said to be “gakusei.”
・棋聖(kisei)
囲碁・将棋で、才能の優れた人を意味しています。囲碁・将棋の棋聖戦に勝利したものに与えられる称号です。
例文
「プロ棋士としてデビューした少年は、無敗で勝ち進み「若き棋聖」と呼ばれるようになった。」
(Puro kishi to shite debyū shita shōnen wa, muhai de kachisusumi “wakaki kisei” to yobareru yō ni natta.)
The boy who made his debut as a professional shogi player won undefeated and became known as a “young master of shogi.”
・詩聖(shisei)
極めて優れた詩人を意味しています。中国を代表とする詩人「李白」が「詩仙」と呼ばれるのに対し、「杜甫」は「詩聖」と呼ばれていました。
例文
「「現代の詩聖」と呼ばれる彼は、数々の素晴らしい作品を残している。」
(Gendai no shisei to yobareru kare wa, kazukazu no subarashī sakuhin wo nokoshite iru.)
Called the “great poet of today,” he has left behind a number of wonderful works.
・画聖(gasei)
非常に優れた画家や絵の名人を意味しています。
例文
「室町時代に活躍した雪舟は、「画聖」として世間に名を残した。」
(Muromachi-jidai ni katsuyaku shita Sesshū wa, gasei to shite seken ni na wo nokoshita.)
Sesshu, who was active during the Muromachi period, left a name for himself as an excellent painter.
「聖」の漢字の意味と使い方をご紹介しました。日本の漢字の独特な表現や使い方に興味を持った方は、Let’s Play KARUTAでさまざまな漢字の意味や成り立ちを見てみてはいかがでしょうか?