日本のアニメーションや漫画は、国内だけでなく海外でも有名な文化ですね。実は、アニメーションや漫画の原点と言われる作品が、800年以上も昔の日本で既に存在していたことを知っていましたか?
この記事では、日本人の間でも人気のある絵巻物、「鳥獣戯画」には何が描かれているのか?アニメーションや漫画との共通点についてご紹介します。
鳥獣戯画の内容
鳥獣戯画は鳥獣人物戯画とも言われ、京都の高山寺に古くから伝わる水墨画の絵巻物です。絵巻物は「甲」「乙」「丙」「丁」の4巻に分かれています。さまざまな動物がまるで人間であるかのような仕草をし、当時の時代を面白おかしく表現しているところが鳥獣戯画の絵の特徴です。戯画の作成時期は日本の平安時代後期から鎌倉時代初期(12世紀中頃から13世紀初頭)と言われています。鳥獣戯画に描かれている内容は、「甲」乙」「丙」「丁」の全4巻で異なります。各巻の全長は、最も短い丙巻で9.333m、最も長い乙巻は11.89mの大作です。
では、鳥獣戯画の4つの巻物には何が描かれているのでしょうか?
甲
甲巻には擬人化された動物たちが戯れる様子が描かれています。例えば、冒頭の水浴びのシーンでは、ウサギが人間のように鼻をつまみながら崖から川に飛び込んでいます。他にも、ウサギと蛙が相撲を取る様子は鳥獣戯画でも有名なシーンの一つです。このように、甲巻は動物たちの人間らしい動作がコミカルに描かれています。
乙
乙巻には、実在する動物と架空の生き物が描かれています。ストーリー調の甲巻とは異なり、まるで動物図鑑を見ているかのように写生的に描かれているのが特徴です。例えば、馬、牛、鷹、犬、鶏などの平安時代の日本で身近だった動物や、虎、麒麟、獏、象などの海外の動物、そして竜などの伝説上の生き物が登場します。
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丙
丙巻は前半と後半で2つの構成に分かれています。前半は、人間を中心に描かれた風俗画で、一方後半は甲のような動物戯画です。丙巻の前半では、囲碁をする僧侶や、子どもが双六で遊ぶ様子など当時の人々の暮らしが伺えます。賭弓(のりゆみ)と呼ばれる宮廷行事もあり、当時の時代が細かな描写で描き出されています。丙巻の後半では、動物が再び擬人化されており、犬や猿、ウサギが器用に物を抱え、2本足で歩く様子が見られます。
丁
丁巻に登場するのは人間のみです。僧侶や貴族、老若男女さまざまな人が登場し、主に勝負事の様子が軽やかな筆運びで描かれています。例えば、山岳で厳しい仏教の修行を行う修験者と仏教に通じた僧である法師が修行の成果を競う場面などがあります。丁巻では、甲巻と似たシーンを、人間に置き換えて描いている箇所も見られ終始ユーモアにあふれています。
鳥獣戯画は謎だらけ?
鳥獣戯画は謎の多い作品と言われています。絵巻物を説明する詞書がないため、誰が、いつ、何の目的で絵を描いたのかが不明だからです。例えば、作者は絵の作風から、当時ユーモアのある風刺画を得意とした鳥羽僧正覚猷が描いたとされる説が有力です。その一方で、鳥獣戯画の描き方に一貫性が見られない部分もあるため、複数の宮廷絵師や仏絵師が描いたのではないか、という説もあります。
アニメーションや漫画と鳥獣戯画の共通点
漫画やアニメーションの原点として鳥獣戯画が挙げられることがよくありますがなぜでしょうか?それは、現代の漫画に用いられる技法が鳥獣戯画の中でも使われているからです。
その代表の1つが異時同図法を使った構成です。異時同図法とは、同じ登場人物の異なる時間の流れを、同じ空間に描くことで時系列を表現する手法です。横長の構成の絵巻物ではこの図法での描き方が定番です。実は、漫画も異時同図図法で描かれています。同じ登場人物や風景が何ページにもわたって登場し、ストーリーが展開される点も似ていると考えられます。鳥獣戯画は他の絵巻物と異なり、動物や人間を風刺も交えながらコミカルに描かれているので、漫画の作風も類似性があると言えます。
このほかにも、鳥獣戯画では漫画やアニメーションで使うテクニックが多く見られます。漫画を描くときの手法で、効果線を用いて事物の動きを表現することが多くあります。鳥獣戯画でもこの技法が見られ、薙刀が回っている様子を線で描いた表現があります。また、漫画で、登場人物のセリフを表現する時に使う「吹き出し」も、鳥獣戯画では、蛙が音を出している様子が線で描かれています。鳥獣戯画で用いられている表現技法が800年上経った現代の漫画にも受け継がれていると言って過言ではありません。
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まとめ
鳥獣戯画は、平安時代に作られたコミカルでユーモアにあふれた絵巻物ですが、作者も作ら得た背景もわからない謎に包まれた絵画です。日本のアニメーションや漫画のルーツとも言われている鳥獣戯画には、現代の漫画にも用いられている手法が見られます。
漫画やアニメーションに興味のある方は、鳥獣戯画を見てみると、漫画とアニメーションの共通点が見つけられて楽しく鑑賞できるかもしれませんね。
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