7月7日におこなわれる七夕は、子供から大人まで幅広い人が短冊に願い事をするとても素敵な行事です。しかし、七夕の意味や由来について知っている方は、意外に少ないのではないかと思います。
そこで本記事では、七夕の由来とされている3つの言い伝えや、短冊や飾り物における意味などを詳しく解説していきます。
七夕は五節句のひとつ
七夕は、7月7日の夜に星を祭る年中行事です。また、江戸時代に制定された五節句のひとつでもあります。
当時、公的行事や祝日として誕生した五節句は、1873年(明治6年)に新暦への改暦のタイミングで、制度としては廃止されることになりました。ですが、七夕を中心とした以下の五節句は、形を変えながら四季折々の行事として現代まで受け継がれています。
- 1月7日:人日 (じんじつ)の節句
- 3月3日:上巳 (じょうし/じょうみ)の節句
- 5月5日:端午(たんご)の節句
- 7月7日:七夕(しちせき)の節句
- 9月9日:重陽(ちょうよう)の節句
七夕の意味や由来につながる3つの風習
日本の七夕は、日本と中国における言い伝えや風習が組み合わさったミックスカルチャーです。数ある由来のなかで有名なのは、以下の3つとなります。
棚機(たなばた)
棚機とは、古い時代の日本でおこなわれていた水の神様に秋の豊作をお祈りする行事です。かつては、棚機津女という女性が織った着物を、神様にお供えしていました。そして着物をつくるために使っていた織り機が、「棚機」という名前だったのです。
そんな棚機は、時代の流れによってお盆を迎える準備として7月7日におこなわれるようになりました。そして、同日の五節句である七夕の当て字になったと言われています。
織姫と彦星の伝説
日本でも有名な織姫と彦星の話は、中国伝来の星伝説がルーツとなっています。一般的なあらすじは、結婚によって全く仕事をしなくなった織姫と彦星に怒った天帝が、天の川によって2人を離れ離れにしたというものです。そして天帝は、仕事に真面目に励むことを条件に、7月7日に年に1度だけ2人が天の川を渡ることを許したとされています。
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乞巧奠 (きこうでん)
乞巧奠は、奈良時代に伝わった中国の習慣です。裁縫の上達を願う乞巧奠は、自然と日本の宮中に広まり、七夕の夜に女性がお供えをして祈るお祭りへと移り変わっていきます。そして、織姫・彦星伝説と一緒に伝来した乞巧奠には、男女の良縁を祈る意味も加わったと言われています。
七夕飾りや短冊にも意味がある
七夕の飾り物にも、さまざまな意味や由来があります。
五色の短冊
七夕に飾られる五色の短冊は、中国の陰陽五行説が由来です。世の中が陰と陽で成り立っているとするこの考え方では、短冊に使われる色に以下の意味を持たせています。
- 青や緑の短冊:自然をあらわす「木」
- 赤の短冊:炎を表現する「火」
- 黄の短冊:大地の象徴である「土」
- 白の短冊:大地に埋まる金属を示す「金」
- 黒や紫の短冊:命の育みを示す「水」
また、短冊の色には、中国の思想家・孔子が礎を築いた五徳の意味もあります。
- 青や緑の短冊:人を思いやる心の「仁」
- 赤の短冊: 仁を具体化した感謝の「礼」
- 黄の短冊: 誠実さや約束を守ることの「信」
- 白の短冊: 私利私欲にとらわれない「義」
- 黒や紫の短冊: 学業に励み向上を目指す「智」
吹流し
織姫・彦星の伝説に由来する飾り物です。織姫が使う糸を、紙や布で表現しています。吹流しには、裁縫や織物の上達を願う意味があると言われています。先述の短冊と同じ五色でカラフルな吹流しをつくると、魔除けの意味も生まれるようです。
千羽鶴
鶴は、「鶴は千年、亀は万年」ということわざもあるように、長寿の象徴とされる鳥です。昔の人は寿命も非常に短かったため、千羽鶴を折ることで年長者の長寿を願ったと考えられています。また、鶴のつがいはとても仲が良いことから、夫婦円満のシンボルでもあります。
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紙衣(かみこ)
紙衣とは、和紙や折り紙でつくられた着物の形の飾り物です。紙衣を七夕飾りに入れる目的は、吹流しなどと同じように女性の機織りを上手くする願いであると言われています。織り機がよく使われていた頃は、短冊と同様に有名な飾り物でした。人の形にも見える紙衣には、子供が元気に育つことを願う意味もあります。
巾着
財布の形状をしている巾着は、金運を意味する飾り物です。お金がたくさん入ってくることの他に、上手な節約を願う目的があります。巾着の七夕飾りには、金運を呼ぶ黄色が使われることが多いです。なかには、折り紙の巾着ではなく、本物の財布を飾る場合もあります。
まとめ
織姫と彦星の話で有名な七夕は、日本と中国の習慣や言い伝えの混ざったミックスカルチャーでした。そして七夕飾りや短冊にも、裁縫の上達や金運、長寿といったさまざまな願いが込められています。
7月7日の前に七夕の準備をするときには、こうした意味や由来を知っていた方が、みんなの願いを叶える飾り付けができることでしょう。
この記事は、「にほんご日和」に掲載された記事をKARUTAにて一部再編集しています。
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