Sake
和食との相性が抜群で、温めても冷やしても楽しめる日本酒。近年では種類も豊富で、若い世代や女性向け、海外向けに開発された日本酒なども見かけるようになりました。
ここでは、今やグローバルなお酒となった日本酒について、基本知識や種類、味のタイプなどについて解説しています。文化交流の際に和食の知識の1つとして、また自分好みの日本酒を選ぶ際の参考にしてみてください。
日本酒の基本知識
まずは、日本酒の定義や日本酒を造る「杜氏」の仕事などについて見ていきましょう。
◇【日本酒の定義】どのようなものを「日本酒」と呼ぶ?
日本酒の定義としては「白米を使っていること」「麹と水で発酵し、熟成させていること」「アルコールを含んだ飲み物であること」となります。蒸した白米に麹(こうじ)と水を加え、発酵させたものが「日本酒」と呼ばれます。
酒税法から見た日本酒は「清酒」という区分に分類されます。清酒の定義は原材料にお米を使い、「濾(こ)す」という工程を製造の段階で必ず入れることがさだめられています。
日本酒の呼び方は一般的にお酒(おさけ)とだけ呼ばれることもありますが、古来には酒々(ささ)と呼ばれたり、英語圏では“Japanese rice wine”と紹介されることもありますが、現在では単に “sake”と言っても通じるようになってきています。
◇日本酒を造る「杜氏」とは
日本酒の基礎知識として、もう1つ知っておきたいのが「杜氏(とじ、とうじ)」と呼ばれる人々のことです。杜氏とは、酒蔵で酒造りに関わる一切の工程を取り仕切る責任者のような存在です。ちなみに、杜氏以外の日本酒造りに関わる技術者は「蔵人(くらびと)」と呼ばれます。
杜氏は蔵人の統括はもちろん、複雑な日本酒の工程すべてを管理し、醪(もろみ)の発酵状態を知るための化学的な知識なども持つエキスパート集団であり、新潟の「越後」、岩手の「南部」、兵庫の「丹波」は「日本三大杜氏」としても知られています。
おもな日本酒の種類と特徴
次に、日本酒のおもな種類や特徴などについて解説します。
◇特定名称酒とその分類
日本で販売されている日本酒のうち、酒税法によってさだめられた要件を満たしている日本酒については「吟醸酒」「純米酒」といった名称をつけることができます。こうした名称のついた日本酒は「特定名称酒」と呼ばれており、それぞれ以下のように分類されています。
◇吟醸酒
「吟醸酒」とは、精米歩合が60%以下で「吟醸造り」と呼ばれる低温でゆっくりと発酵させる製法で造られ、お米と米麹、水、醸造アルコールを原料としており、なおかつ香りや風味が良いお酒だけにつけることができる名称です。
精米歩合とはお米を磨いた度合いを示すもので、精米歩合60%以下の吟醸酒では40%以上、精米歩合50%以下の「大吟醸酒」では50%以上磨いたお米を使うことがさだめられています。
◇純米酒
「純米酒」とは、「お米と米麹、水だけを使って造った日本酒」、つまり「醸造アルコールを使用していない日本酒」につけられる名称です。吟醸造りで製造された純米酒は「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」と呼ぶことができます。吟醸造り以外の特別な醸造法で造られた純米酒は「特別純米酒」と呼ばれます。
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◇本醸造酒
精米歩合が70%以下で、お米と米麹、水、醸造アルコールなどを使って造り、なおかつ風味や香りが良い日本酒につけることのできる名称です。精米歩合が60%以下で、特別な醸造方法によって造られたお酒は「特別本醸造酒」と呼ぶことができます。
一般的に、吟醸酒は華やかでフルーティな味わい、純米酒はまろやかなコクを感じるお米の風味が強い味わい、本醸造酒はシンプルですっきりした味わいのものが多い傾向にあります。
日本酒は香味によって4タイプにも分類される
最後に、日本酒の「香味」によって分けられている4タイプについても解説しましょう。
◇日本酒の香味4タイプ
日本酒の香味4タイプは、それぞれ以下の通りです。
・薫酒(くんしゅ):花のような香りと、果実を思わせるフルーティな味わいの日本酒です。吟醸造りタイプのお酒が葷酒にあたり、近年人気のタイプのお酒となっています。ワイン感覚で、よく冷やして飲むのがおすすめです。
代表的な薫酒としては「獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」や「鳳凰美田 純米大吟醸 山田錦五割磨き」などが挙げられます。
・熟酒(じゅくしゅ):熟成期間が長く、トロリとまろやかな飲み口とスパイシーな香りが特徴のお酒です。古酒などはこの熟酒に分類されます。常温で少しずつ楽しむほか、ぬる燗にしたり、あるいは少し冷やしたりと、好みの温度を見つける楽しみもありそうですね。
代表的な熟酒には「帰山 参番 古酒 1998」、「昇龍蓬莱 純吟 阿波山田錦55 槽場直詰」などがあります。
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・爽酒(そうしゅ):すっきりとした味わいが「辛口」といわれることもあるお酒です。本醸造酒などがこの爽酒にあたる傾向にあります。よく冷やして、グラスで飲むのがおすすめです。
代表的な爽酒には「八海山 本醸造」や「久保田 碧寿」「呉春 吟醸酒」などが挙げられます。
・醇酒(じゅんしゅ):お米本来のうまみや甘みが感じられるお酒です。常温で濃厚な味わいを楽しむほか、燗で芳醇な香りと甘さを楽しんでみるのもよいでしょう。
代表的な醇酒は「神亀 純米酒」や「春鹿 純米酒」などがあります。
この分類は、そのお酒がどんな味わいなのか、どんな飲み方がおすすめなのかを知るために分けられたものとなっています。分類を参考にして選べば、日本酒が苦手な人でもお気に入りの種類が見つかるかもしれません。
まとめ
日本酒は「お米」と「米麹」に「水」をくわえ、発酵させて造られるお酒のこと。醸造アルコールの有無や米の磨き方によって、「大吟醸」や「純米酒」、「本醸造酒」といった特定名称酒とすることも可能です。また、味や香りによって「薫酒」、「熟酒」、「爽酒」、「醇酒」の4つにも分類されており、それぞれ温度や楽しみ方がことなります。
タイプ別に代表的なお酒についてもご紹介していますので、自分の口に合う日本酒をぜひ探してみましょう。
この記事は、「にほんご日和」に掲載された記事をKARUTAにて一部再編集しています。
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