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今や、日本文化の代名詞とも言える「寿司」。世界的な日本食ブームを背景に、寿司店をはじめとする日本食レストランの数は、全世界で15万店を超えています。とは言え、いくら日本人であっても、寿司の定義や歴史まで、きちんと理解している人はそう多くないでしょう。
この記事では、一般的な寿司の定義や種類、ルーツ、食べる際の礼儀・マナーまで、日本文化としての寿司を全般的に解説していきます。よりおいしく、より楽しく寿司を味わっていただくための豆知識として、ぜひ本記事をお役立てください。
日本文化としての寿司
まずは、日本文化としての寿司の全体像を把握するために、基本となる知識を押さえておきましょう。
一般的な寿司の定義と代表的な種類
まずは、寿司の定義を解説します。
一般的にはシャリ(酢飯)とネタ(主に魚介類)を組み合わせた和食のことを、寿司と呼んでいます。新鮮な魚介類以外にも、肉や野菜、卵などの食材がネタとなる場合も珍しくありません。
また、一口に寿司と言っても、その種類は多種多様です。海外におけるカリフォルニアロールが良い例ですが、地域や店舗により、使用される食材や表記は異なります。
寿司の種類としては、以下のものがメジャーです。
- 握り寿司
- 巻き寿司
- 押し寿司
- ちらし寿司
- 棒寿司
- いなり寿司
- 手巻き寿司
- 軍艦
寿司における代表的な3つの表記
「すし」は、本記事で使用してきた「寿司」以外にも、「鮓」や「鮨」と表記される場合があります。それぞれの違いや特徴を確認していきましょう。
- 寿司
現在、最もメジャーな表記です。江戸時代に縁起担ぎで作られた当て字が由来となっており、ネタや種類に関係なく使うことができるため、一般的に広く用いられています。
- 鮓
3種類のなかでも、最古の表記である「鮓」。元来は発酵させて作るすしという意味であり、「酸し(=酸っぱい)」という、すしの語源を継承したものです。
- 鮨
「鮓」の次点で古い表記です。江戸前系のすしで用いられることが多く、それ自体を指す意味も併せ持っています。
日本文化としての寿司の歴史
日本では、千年以上の歴史と文化を誇る寿司。 続いては、意外と知られていない寿司のルーツについて触れていきます。
寿司の起源は東南アジアの熟鮓(なれずし)という発酵食品
実は、寿司の発祥地は日本ではなく、東南アジアです。当時、山岳地帯に住んでいた民族が、入手困難だった魚を長期保存するための方法として編み出した、「熟鮓(なれずし)」と呼ばれる発酵食品が寿司の起源であると言われています。
日本において、奈良時代には貢物として朝廷へ献上されていた熟鮓。現代における押し寿司や箱寿司に、当時の名残を感じますが、鎌倉時代へ突入すると、残り物の魚を利用した熟鮓が登場するようになりました。
寿司が今のスタイルに近づいたのは江戸時代
米酢が一般化した江戸時代中期には、発酵させる必要のない「早寿司」が誕生。待たずにすぐ寿司を食べられる時代の訪れです。
さらに江戸時代後期になると、握り寿司が考案されましたが、おむすび並みの大きさであったため、切り分けて食べられていました。1皿に2貫盛る現代のスタイルは、当時の名残でもあります。
ネタに刺し身が使われ始めたのは明治時代以降
製氷産業が盛んになった明治30年以降、漁法や流通の発展と相まって、これまで生の刺し身が扱えなかった寿司屋も、ネタを氷で冷やして保存できるようになりました。
現代では一般的な、煮切り醤油をネタに塗って出す提供方法は、この時代に確立されたスタイルです。
時は進み、大正時代初期。寿司店に電気冷蔵庫が登場するようになり、続々とネタの種類が増えて、サイズも小ぶりになっていきました。
その後、関東大震災の影響で寿司職人が全国に散らばったことにより、地方にも江戸前寿司が広まったとされています。
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一時は敷居が高くなった昭和時代、回転寿司の登場により状況を打破
寿司は順調な発展を遂げてきましたが、昭和時代に入ると状況は一転。高度経済成長期になると、衛生上の理由から、これまでメジャーであった屋台の寿司店が廃止になってしまいます。
しかしながら、昭和33年、史上初となる回転寿司が大阪で開業したことを皮切りに、寿司は庶民的な食べ物としての地位を再び取り戻しました。
手頃に食べることができる現代の寿司は、このような歴史の流れを受けて存在しています。
日本文化としての寿司を食べるときの礼儀とマナー
食べるときの礼儀やマナーなくして、日本文化としての寿司を語ることはできません。少し堅苦しく感じるかもしれませんが、寿司店を楽しむための秘訣のようなものなので、ひとつずつポイントを確認していきましょう。
職人さんに話しかけてみる
寿司職人さんとの距離が近い寿司屋へ訪れた際には、ぜひ話しかけてみてください。ハードルが高いように思えますが、その日のおすすめを聞いてみたり、好物やアレルギーを伝えたりすることで、より充実した食事を楽しむことができます。
寡黙なイメージがある寿司職人さんですが、意外とお話が好きな人も多いので、勇気を出してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
握り寿司は箸ではなく手で食べる
手づかみの食事が歓迎されない文化もあり、昨今では、日本国内でも箸で寿司を食べる光景が一般的です。もちろん、食べ方は個人の好みですが、もし抵抗がなければ、ぜひ直接手に取って味わってみてください。
実は、寿司職人さんが技術を惜しみなく投じて握る寿司は、口に入れた瞬間にちょうどよく溶けるように、空気の量まで繊細に調整されているもの。
そのため、誤って箸に力を入れて掴んでしまうと、形が崩れて、こだわりの味を楽しむ機会を逃してしまうことになります。
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握り寿司は一口で食べる
欧米ではワンスプーンという考え方がありますが、寿司でも同様に、一口で食べることを想定して味付けが施されている場合が多いです。 女性の場合は小さめにするなど、お客様に応じて握りのサイズを変えている寿司職人さんもいます。
醤油はシャリではなくネタにつける
目の前で寿司職人さんが握ってくれるタイプの寿司店では、ネタにタレが塗られた状態で提供されているケースもあります。これは、シャリに醤油をつけることで起こってしまう、必要以上に濃い味付けや形の崩れを防ぐための配慮です。
このような理由から、寿司店ではネタのみに醤油をつけることがマナーだと言われています。
まとめ
深い歴史や、さまざま礼儀作法がある寿司は、とても奥が深いです。回転寿司でも高級店でも、寿司を食べるときの礼儀とマナーを少し思い出して実践してみると、より寿司の魅力を楽しめるかもしれませんね。
この記事は、「にほんご日和」に掲載された記事をKARUTAにて一部再編集しています。
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