現代の日本では、着物を着る機会は、成人式・披露宴・花火大会など、非常に数が限られていることが多いかもしれません。
また、着物を着るときは緊張感があり、不思議と背筋が伸びるという方もいらっしゃるでしょう。
海外からの観光客向けの着物レンタル店は大盛況のようで、外国の方にとっても着物は魅力的に映っていること間違いありません。
せっかくですから、海外の方からの質問をスムーズに答えられるよう、着物の文化・歴史に関して学んでおきませんか?
着物の文化とその歴史や魅力に関してご紹介します。
着物の文化とは
日本の着物の文化に関して、まずは基本をおさえておきましょう。
着物文化と日本という国
着物は日本の民族衣装です。海と山に囲まれた豊かな自然と四季の変化の中で、日本に住む我々の祖先は独自の美意識を育て、着物にその美意識を表現してきました。
着物の中には、日本の繊細な四季の変化に合わせ、身に着けられる時期がごく限られた素材・絵柄もあります。
まさに着物ならではの贅沢と言えるでしょう。
日本が誇る職人技の結晶
着物や帯には、日本の職人技が生かされています。
西陣織・京友禅・加賀友禅・大島紬・黄八丈など、各地で伝統工芸品として技術が継承されてきました。
伝統文化としての着物
長い歴史の中で変化しながら受け継がれてきた着物は、日本が誇れる伝統文化のひとつ。
日本人ならではの内面の強さやしなやかさ・奥ゆかしさを引き立ててくれるのは、まさに着物ならではです。
普段の生活の中で着る機会は少なくても、大切な場面では現在も着物の出番はあります。
七五三に成人式、お宮参りなどの行事・儀式、茶道・華道・日本舞踊などのお稽古ごと、剣道・弓道など日本古来の武道にも着物は欠かせないものです。
歌舞伎や能の鑑賞に着物で出かければ、気分が上がりますし、周囲から注目されることあるでしょう。
また、しっかりと管理とお手入れをすれば、祖母から母、母から娘へと、何代にも渡って受け継いでいくことができるのも着物のすばらしさです。
着物と日本語
普段何気なく使っている表現や、小説やドラマのセリフの中に、着物由来のものがあることに気付かれていますか?
「襟を正す」「袂を分かつ」「辻褄が合う」「折目正しい」など。
それほどまでに、着物は日本人の生活に深く根をおろしているのです。
着物の種類について
私たち日本人の生活がいかに着物と深く結びついているか、ご理解いただけましたか?
着物は種類によって着るシーンが決められています。このルールについてもご紹介します。
礼装着
・喪服
通夜・告別式の際に親族が着用する黒無地で5つの紋が付いている喪の正装です。
・黒留袖
裾に絵模様が描かれたもので、既婚女性の第一礼装。親族の結婚式や儀式・式典に着用。
模様は、縫い目をまたいで一枚の絵になります。
・本振袖
未婚女性の第一礼装で、大振袖とも呼ばれます。長い袖と豪華な模様が特徴。披露宴での花嫁衣装がこの本振袖です。
略礼装着
・色留袖
黒以外の裾模様が入った着物で、既婚女性か振袖を卒業した未婚女性が身に着けます。
・訪問着
未婚・既婚に関係なく女性が身に着ける略礼装。華やかなものが多く、フォーマルな席を中心に幅広く活躍します。
・振袖
成人式でもおなじみの未婚女性の礼装着。袖の長さの違いで振袖・中振袖・小振袖に分けられます。
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外出着
・付け下げ
白生地を裁ってから染める訪問着に対し、反物のまま柄付けを行い、控え目な柄が特徴。
訪問着ほど改まる必要のないシーンにぴったりです。
・小紋
全体に模様が繰り返されている着物。
お稽古・友人とのお出かけ・観劇など、ちょっとしたオシャレ着として着用します。
・付け下げ小紋
小紋柄の付け下げです。
街着・普段着・浴衣
・紬(つむぎ)
以前は普段着という位置付けでしたが、今では外出着として気負わないシーンで身に着けても問題ありません。
ただし、どんなに高価なものでも、フォーマルな場での着用はNG。
・絣(かすり)
紬同様、本来普段着ですが、現在では外出着としても利用されています。
・黄八丈
八丈島で自生する植物の煮汁で縞や格子に染められた普段用の着物です。
・ウール
木綿と並んで普段着用の着物素材です。
・木綿
木綿でできた浴衣は、価格・着付けの手軽さもあり、花火大会などの夏のイベント時に大人気です。
着物の魅力
着物の種類、たくさんあって覚えるのはなかなか大変ですね。結婚式での新郎新婦のお母様は黒留袖、花嫁衣装は大振袖など、シーンに合わせて確認しておくと忘れないでしょう。
では、着物の魅力に関してお伝えします。
着物は内面の美しさを引き出す
着物を着ると動きに制約があるため、いつもとは違う所作が求められます。言葉づかいも着物・所作に合わせたくなり、律されるものです。
着物を着ると所作や言葉使いまで気を配る必要があり、いつもとは違う日本人女性らしい自分に出会えます。
伝統工芸品の一面も
着物の中には、芸術的な意匠が施されたものがあるのも大きな特徴です。
加賀友禅・西陣織・大島紬などの上等なものは、丁寧に管理すれば親から子へと何代にも渡って大切に受け継ぐことができます。
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季節ごとの着物の魅力
素材や柄によって季節感を楽しめるのも着物の魅力。
この場合、半月~1ヶ月ほど先取りして着用するのが着物では粋とされており、2月なら3月に咲く梅の柄を楽しみます。
加えて、着物・帯だけではなく、草履・バッグ・半襟などの小物でも季節感を出せるのが着物の醍醐味です。
まとめ
着物は国土・伝統・職人・言語と強く結びついた日本独自の文化であり、基本的な種類と着るのにふさわしいシーンは覚えておくと良いでしょう。
着物に関する情報が増えると、着物を着ている人を見る目も変わります。
着る人の内面の美しさを引き出し季節感まで楽しめる着物は、伝統工芸品としての一面も持ち、外国人観光客にも大人気。
着物の魅力と文化、しっかり理解して語れるようになるとあなたの魅力も増すことでしょう。
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この記事は、「にほんご日和」に掲載された記事をKARUTAにて一部再編集しています。
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